LPガス販売のエネジン(浜松市)は太陽光発電に対応した給湯器・蓄電池の販売を本格化する。11月で家庭用の太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)が順次終了するのをにらみ、電気を自家で有効活用できる仕組みとして拡販を目指す。
固定価格買い取り制度は再生可能エネルギーの普及を後押しする国の制度。経済産業省が企業や家庭を再生エネの発電事業者と認定し、発電した電気を電力会社が買い取るもので、あらかじめ決められた買い取り価格を設定することで導入を加速させる狙いがあった。
11月から順次、10年間の買い取り期間が終わる家庭が出始める。買い取りが終わった電源は、つくった電気を自家消費するか、余った電気を売電するといった対応が必要になる。
浜松市は特に全国で有数の日照時間の長さを生かせるとして、金融機関らと連携した太陽光発電の導入促進施策や、家庭向けの太陽光発電システムや蓄電池の設置に対する補助金支給を進めてきた。
資源エネルギー庁によると19〜23年の間に、浜
松市では1万7,000件以上の固定買い取り期間終了があり、これは名古屋市の1万8,000件以上に次いで全国の市町村で2番目に多い。
エネジンでは7月から太陽光発電の余剰電力を湯の沸き上げに使える家庭用給湯器の取り扱いを始め、自家消費需要の増加に応える。価格はガスと電気を併用できる機種が工事費込みで65万5,000円、オール電化向けは同46万円から。
エネジンが太陽光パネルを販売した世帯には既に営業を始めた。エネジンは光熱費節約の方法紹介や防災対策をテーマとしたセミナーを開催しており、今後はセミナーを契機とした新規顧客の開拓も進める。20年9月期に年間で300世帯、1億5千万円の販売を目指す。
外壁塗装や部屋の改修工事、エアコンの買い替えなどとのセット提案も検討しており、価格面での差別化や他事業とのシナジー効果創出も進める考えだ。既に取り扱う蓄電池も要望に応じて提案する。
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