農地の賃貸を仲介する農地中間管理機構(農地バンク)事業を見直す農地中間管理機構法などの改正法が17日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。農協などが担っている農地の集約事業をバンクに統合一体化したり地域の協議を促したりして、集約の加速を目指す。
農地の借り手がバンクに対して利用状況を毎年報告する義務を廃止するなど手続きの簡素化も進める。最も遅い項目で公布から1年3カ月以内に施行する。
市町村が指定する農協などがバンクから耕作者への農地の配分計画案を作成できる仕組みも設ける。農協などの集約のノウハウを活用する。
地区ごとに農業の将来像を示す「人・農地プラン」を作成するのに当たり、市町村が耕作者の年齢構成などの情報提供に努めることを明確化する。耕作者の年齢層や後継者の確保状況を地図上で把握できるようにして協議に生かす。
農林水産省は法改正に合わせた予算措置を用意した。一定基準以上の集積に取り組む地域に交付する「地域集積協力金」の対象は、実効性のあるプランを策定している地域とするほか、集積が進みにくい中山間地域への交付要件を緩くする。
平地の要件は地域の農地面積に占めるバンクへの貸し付け面積が20%超となっているが、中山間地域は4
%超と5分の1にする。
都道府県ごとに設置されている農地バンクは2014年から業務を始めた。政府は農地利用を効率化するため、全耕作地の中で大規模農家などの担い手が利用する面積の比率を23年度までに80%とする目標を掲げるが、17年度末で55.2%にとどまっている。
|