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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

県内公示地価 沿岸部でも改善の動き 住環境整備、観光開発 需要、ニ極化から多極化

 19日発表の県内公示地価では、東日本大震災以降、下落が継続する沿岸部の中でも、住環境整備や観光開発を追い風に上昇したり、下落幅が大きく縮小したりした地域が見られた。土地需要の強弱は沿岸部と内陸部の「二極化」から、個々に状況の異なる「多極化」へと向かっている。  前年から6.3%上昇し、変動率県内1位となった浜松市西区雄踏の住宅地。震災後の2013年には8.8%下落したが、16年に上昇に転じた。地元不動産関係者は「大型商業施設に近く、街路もしっかりしている。購入層は30代が多い」と明かす。震災直後は浜名湖に近い川のそばの立地で敬遠されたが、実際には県の第4次地震被害想定の津波浸水域にはなっておらず、「ハザードマップを示して説明すると安心してもらえる」という。  海岸に近い静岡市駿河区高松も、整った街並みが人気。地価の下落は続いているが、下げ幅は年々縮小していて、市内の業者は「津波への懸念が和らいでいる」とみる。  地価公示鑑定評価員分科会の鈴木隆史代表幹事によると、沿岸部で地価が改善している地域には二つのパターンがあるという。一つは雄踏や高松のように「良好な環境が形成されたきれいな街」。防災情報を分析した上で、割安感から購入する動きが出ている。  もう一つは「商業やレジャー開発があった旧来の漁村集落」で、代表例に下落率が6.0%から3.5%に縮小した静岡市駿河区用宗を挙げる。子会社が同地区で天然温泉や宿泊施設を運営するCSA不動産(同市葵区)の小島孝仁社長は「利用用途が広がったことで土地の価値が高まっている」と分析。「外からの注目や訪れる人の評価によって元々の住民が誇りを持てるようになれば、将来の人口流出などを防ぐことにもつながる」と強調する。  鈴木代表幹事は「もはや『沿岸部は厳しい』とひとくくりにできない」と話す。今後は内陸、沿岸を問わず人気のエリアには需要が集まる一方、少子高齢化 を背景に中山間地や高度経済成長期の郊外の住宅団地などが下落の上位に入ってくる可能性を指摘する。

静岡 2019年03月20日朝刊

 

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