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地方圏27年ぶり上昇 公示地価 全用途平均で0.4% 主要都市 投資が活発化

 国土交通省が19日発表した今年1月1日時点の公示地価によると、三大都市圏を除く地方圏は全用途平均が前年の横ばいからプラス0.4%となり、1992年以来27年ぶりに上昇に転じた。地方の中核的な4市(札幌、仙台、広島、福岡)をはじめとする主要都市で再開発や訪日客の増加に伴う不動産投資が活発化し、全体をけん引した。人口減少が進む地域では下落が続いており、二極化が鮮明となっている。  地方圏の住宅地はプラス0.2%で27年ぶりの上昇。商業地はプラス1.0%で、2年連続で伸びた。だが上昇は再開発で利便性が高まった地域や観光地にとどまり、地方圏の調査地点のうち48%は下落、19%は横ばいだった。  前年の地方圏全用途平均の変動率は、詳しく見るとプラス0.04%だったが、小数点第2位を四捨五入して公示するため、国交省は「0.0%の横ばい」と発表していた。  中核4市の商業地の上昇率は札幌8.8%、仙台10.7%、広島5.8%、福岡12.3%。住宅地の上昇率は4市平均で4.4%。  全国平均の上昇率は、商業地が2.8%、住宅地が0.6%。東京、大阪、名古屋の三大都市圏は商業地が5.1%、住宅地が1.0%で、低金利に伴うオフィス、マンション需要も押し上げ要因となった。  国交省は「転売目的の取引が相次いだバブル期と異なり、経済活動の裏付けがある上昇」とみている。  都道府県別の上昇率は、沖縄が商業地10.3%、住宅地8.5%でともにトップ。下落率は、商業地は新潟の1.4%、住宅地は秋田、和歌山の1.3%が最大だった。  地点別の上昇率は、スキーリゾートで外国人に人気の北海道倶知安町が商業地58.8%、住宅地50.0%で、ともに全国1位。一方、下落率の上位には、昨夏の西日本豪雨で被災した岡山県倉敷市の住宅地や広島県呉市の商業地などが入った。  最高価格地点は東京都中央区の「山野楽器銀座本店」で、1u当たり5,720万円。 【解説】  2019年公示地価は、三大都市圏以外の地方圏でも、主な都市に回復の動きが広がっていることを示した。だが人口減に歯止めがかからず、観光客の姿もまばらな地域では下落が続く。地価は地域の活力を映す鏡と言えるが、このままでは格差拡大の懸念は強まるばかりだ。  商業地の地価は、地方圏の道庁や県庁のある38市のうち28市で上昇した。それ以外でも青森県八戸市や長野県松本市、長崎県佐世保市といった主要都市に上昇傾向が波及している。問題はより小規模の市町村だ。財政難や人手不足のため、単独では回復の機運を引き寄せる力に乏しい。  国は昨年、八戸や松本などを含む全国82市を「中枢中核都市」に選び、周辺市町村を包括する経済圏をつくって人口流出を食い止める構想を打ち出した。「中枢中核都市への新たな一極集中が生まれる」との懸念もあるが、格差を埋めるには、自治体の枠を超えた取り組みが求められそうだ。

静岡 2019年03月20日朝刊

 

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