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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

被災地宅地「空き」目立つ 更地6割の自治体も 帰還断念多く

 東日本大震災の被災地で進む宅地造成などの土地区画整理事業で、利用見込みの立たない区画が目立っている。宮城県石巻市など4市ではその割合が2割以上あり、中には6割に達する自治体もある。大量の更地の発生は帰還をあきらめた住民が想定以上に多いことを示す。被災地の人口減に拍車がかかり、自治体財政を圧迫しかねない。  被災地では住宅再建を中心とした市街地整備を目的に土地区画整理事業が進んでいる。国は震災後、復興関連予算として2017年度までに約33兆円を支出。このうち土地区画整理を含む「住宅再建・復興まちづくり」には11兆5千億円近くを投じた。  土地区画整理の工事は完了しつつあるが、課題に浮上してきたのが「空き区画」だ。日本経済新聞社が岩手、宮城、福島3県の沿岸自治体(37市町村)を調べたところ、宅地の供給計画区画は計約1万3,000戸分あったが、うち約1,200戸分で利用見通しが立っていなかった。  その割合が2割程度以上あったのは宮城県石巻市と気仙沼市、岩手県大船渡市と陸前高田市。被害が大きく、大規模事業を計画していたところが多い。  土地区画整理で被災地最多の2,600戸近い宅地整備を計画している石巻市では、約25%にあたる637戸の利用見通しが立っていない。大船渡市では計231戸分の宅地を含む土地区画整理を進めるが、18年末時点で6割にあたる141戸分が「空き」のままだ。  土地区画整理は住民の意向調査を基に造成区画数をまとめる。本来空き区画は発生しないはずだが、完成までに時間がかかるなかで帰還をあきらめた人が多い。避難者が地元に戻らない現状は、自治体にとって税収減にもつながる。

日経 2019年03月12日朝刊

 

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