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区再編、住民投票で問う 浜松市、産業振興・財政改革では成果 起業家支援道半ば

 浜松市は2005年に12市町村が合伴して、人口・面積ともに静岡県内で最大の自治体となり、07年には政令指定都市に昇格した。鈴木康友氏は同年から市長を務め、産業振興や財政健全化を中心とした施策に重点を置いてきた。自民系、共産系との三つどもえの選挙戦が予想される4月7日投開票の市長選では、3期12年の鈴木市政の評価が問われる。  鈴木市長が「一丁目一番地」として最重要施策に掲げてきた産業振興では、北区に造成している「第三都田地区工業用地」の売却が進む。13区画中8区画で売却のメドが立っており、「想定以上の引き合いがあり、順調に進んでいる」(市担当者)という。  中でも、中大型産業用ロボットの関節部分に使われる精密減速機で約60%の世界シェアを持つナブテスコの進出は、輸送機器部品を中心とした製造業への波及効果が期待されている。  しかし「浜松を創業の聖地にしたい」(鈴木市長)として取り組んできたベンチャー支援は道半ばだ。17年9月にオープンした起業家の交流拠点「はままつトライアルオフィス」は直近の半年で利用者が3倍近くに伸びるなど軌道に乗り始めた。  一方で18年6月に開設した「舞阪サテライトオフィス」は現在、全6室中2室が空室。浜松での採用がうまくいかず、進出に二の足を踏む企業が多いという。施設や補助制度は整いつつあるが、企業に浜松での事業継続に不安を抱かせないための取り組みが今後の課題になりそうだ。  「天竜の山を宝の山に変える」として中長期で取り組む、市北部での林業振興は実を結びつつある。環境などに配慮した森林管理の国際規格「FSC認証」の取得面積は市町村では日本一だ。天竜材が20年の東京五輪の交流施設、名古屋城天守閣に使われるなど、ブランド力も向上している。  財政改革も進んだ。臨時財政対策債も含めた総市債残高は18年度末時点で4,654億円と、14年度末から250億円削減される見込み。前回市長選で公約した「4,700億円以下」を達成できそうだ。  一方、「究極の行財政改革」として、18年度中の実現を目指す行政区再編の行方は不透明だ。市は現在の7区を3区に再編する場合、協働センターを活用し行政サービスを維持しながら、人件費などで年間7億円を削減できるとしている。  しかし市議会の特別委員会で、「時期尚早」とする最大会派の自民党浜松などと主張が対立。市長選と同時に実施する住民投票で是非が問われることとなった。  水道事業の運営権を民間企業に売却するコンセッション方式は、下水道で18年度から全国で初めて導入した。ただ上水道は市民の安全への不安が根強く、「複雑な仕組みを短期間でご理解いただくのは難しい。社会全体で理解が進むまで判断するのは困難」として、期限を定めず議論を当面延期する方針だ。

日経 2019年02月28日朝刊

 

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