農地が多く開発を制限している都市郊外の「市街化調整区域」にある空き家の解消を狙い、政府が法改正することが27日、分かった。人口減少を背景に空き
家が増加する一方、原則として農家とその家族しか購入できない規制があり、買い手が見つからないケースが多い。このため市町村が計画を作成すれば、移住者も特例で買えるようにする。3月にも国会提出する地域再生法改正案に盛り込む。
市街化調整区域は、乱開発を防ぎ農地や森林を守るエリアとして、都道府県などが都市計画法に基づき定める。住宅の新築、建て替えなどにも規制があり人口流入が進まないため、近年はコミュニティー維持が課題として浮上。各自治体で規制緩和の動きが広がり、政府も後押しする形だ。
改正案では、市町村が都道府県や住民代表とつくる「地域再生協議会」での議論を経て、移住促進計画を作成。計画の対象とした市街化調整区域内の空き家に関し、移住者側から購入の申請があった場合は、許可権者の都道府県知事らが「配慮する」と明記した。
改正案はこの他、就農希望の移住者を対象とした「農地付き空き家」を購入しやすくする。現行制度では市街化調整区域に限らず、原則50アール以上(北海道は2ha以上)の農地を買う必要がある。移住者には広すぎることが多いため、移住促進計画の区域内は、下限面積を一括して引き下げられるようにする。
現在は、空き家と農地をセットで売却したい所有者側の申し出を受け、自治体の農業委員会が個別に下限面積を1アール程度まで引き下げる例が多く、手間がかかっていた。
【市街化調整区域】
2016年3月末時点で621自治体に設定されている。国土面積の約1割を占め、1,080万人が居住する。人口減少局面に入り、政府や自治体は開発抑制から、移住者の受け入れ促進にかじを切り始めている。国土交通省は16年、開発許可の運用指針を改正。区域内にある空き家の用途を変更し、飲食店や宿泊施設、賃貸住宅などに活用できるようにした。福岡市など一部自治体は、一定の条件を満たせば誰でも住宅の取得を認めている。
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