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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

19年度税制改正案固まる 住宅購入 増税分を還元 中小法人減税 2年延長

 政府、与党が議論してきた2019年度税制改正案の主要項目が8日、ほぼ固まった。19年10月の消費税率10%への引き上げに伴う住まいの購入支援として、住宅ローン減税の控除期間を3年延ばし、20年末までの入居者には増税の2%分を実質的に還元する。中小企業向けの減税は適用期限を2年延長。自営業者が後継ぎに建物などを渡す際の納税については全額猶予し、若返りを促す。  増税前に統一地方選や参院選が続く情勢を映し、財政再建よりも景気対策を優先する内容だ。自民、公明両党は未婚のひとり親に対する税優遇の是非など残る課題を詰め、13日にも税制改正大綱をまとめる。  住宅ローン減税の期間は19年10月〜20年末の入居者に限り、現行の10年から13年に延ばす。10年目までは従来通り年50万円を上限にローン残高の1%を所得税などから控除し、減税総額は最大500万円。その後は3年間の合計で建物購入価格の2%分を上限とし、ローンの返済状況に応じて納税額から差し引ける仕組みとする。  中小企業関連では、年800万円までの所得に適用される法人税率を15%に低くする特例や、設備投資を促す減税の期限を20年度末に延長。100万円以上の機械など、防災設備を導入した場合も税負担を軽くする。  さらに10年間の特例として「個人版事業承継税制」を創設。法人でない個人事業主が事業用の宅地・建物や自動車を引き継ぐ場合、相続税や贈与税を100%猶予し、事業を続ける限り支払わなくて済むようにする。  子供や孫への教育費や、結婚・子育てにかかる資金の一括贈与を非課税とする制度は、それぞれ上限額を1,500万円と1,000万円に据え置いて2年延長。もらう側の年間所得が1,000万円を超える場合は利用を認めない。  持ち主が毎年納める自動車税を恒久的に減税し、購入時の税金は1年限定で税率を1%下げる。  一方、改正民法で成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることに対応。小口の証券運用を優遇する「少額投資非課税制度」(NISA)は18歳から利用可能とするほか、相続税や贈与税の年齢要件などを見直し、22年4月に施行する。 住宅ローン減税3年延長 高額消費冷え込み抑制  政府、与党は消費税増税後に高額消費が冷え込まないよう、住宅ローン減税の3年間延長を決めた。税制以外でも、新築の購入や改修にポイントが付く制度の復活、「すまい給付金」の拡充を予定している。増税後の購入の方が有利になる施策を並べ駆け込み購入を抑える狙いを込めている。  現在の住宅ローン減税は10年間にわたり、年末の借入残高の1%を所得税や住民税から差し引ける。現在は耐震性に優れた「長期優良住宅」などが年50万円(10年で500万円)、一般住宅は年40万円(同400万円)が上限。改正後も入居1〜10年目はこれまでの仕組みと変わらない。  11年目以降は、もともと消費税がかからない土地代を外し、建物購入価格の2%(3年間の合計)の範囲内で税金を減らす。建物価格3千万円の住宅だと毎年20万円、総額60万円が確定申告や年末調整で戻る仕組みだ。  ただ、この適用には条件が付く。「建物価格の2%」の3分の1に当たる額と「借入残高の1%」を比べ、少ない方を減税額と判定する。ローン返済が早く進んだ人の減税額は小さくする。恩恵はローンの返済計画や、給付金など別の制度設計にも左右されそうだ。 【税制改正】  経済や社会情勢の変化に合わせて国税・地方税の税率や課税対象を見直すこと。毎年度行われる。新たな減税や増税が話し合われるほか、導入済みの特例措置の適用期限が近づいた場合は延長するかどうかが議論される。改正は国民負担の増減に直結するとの理由から、与党の税制調査会が検討を主導し、例年12月に翌年度の税制改正大綱をまとめる。

静岡 2018年12月09日朝刊

 

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