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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

地銀のアパ−卜融資 不動産業者経由が「過半」相互依存の強さ 浮き彫り

 投資用不動産向け融資(アパート融資)で、不動産会社などから持ち込まれる案件が多いことがわかった。日本経済新聞が地方銀行に実施した調査では、業者経由の割合が「過半」と答えた地銀が4割で最多だった。家賃保証する業者などが節税対策や副収入目的でアパート経営に興味を持つ個人を開拓し、銀行が購入費用を融資する強い相互依存の構図が浮かぶ。  10月に全地銀105行を対象に書面でのアンケート方式で調査し、100行から回答を得た。シェアハウスで投資トラブルを抱えたスルガ銀行の不正融資問題を受け、アパート融資への姿勢や審査体制などを聞いた。積極的に同融資を推進するとの回答はゼロで、4割の地銀は担保評価を保守的にするなど審査も厳しくしていると回答した。  スルガ銀では、不動産販売業者が周辺の相場を大幅に上回る価格で土地を購入させたり、ウソの契約書を作ったりして多額の融資を引き出していた。アンケートでは、アパート融資のうち業者経由で持ち込まれる案件の割合を尋ねたところ、「過半」が40.5%と最も多かった。  金融庁は家賃保証して転貸するサブリースを含め、業者が間に入ることで入居率や賃料、顧客の資産や収入状況が改ざんされるリスクが高まるとみている。このため同庁が今月下旬までに回答を求めている金融機関向けの調査でも、案件を持ち込んだ不動産業者が提示する価格の妥当性を検証しているかなど管理体制を詳しく調べている。  アンケートではこうしたリスクを踏まえ、融資の審査を厳しくしているとの回答も4割にのぼった。具体的には「物件取得価格の2割以上の自己資金を持っていることが条件」(中国・四国地方)や「家賃が2割下がり、金利が3.5%に上昇する負荷をかけて資金繰りが回るかを判定している」(東海地方)といった回答があった。  このほか「設定エリアを限定」(九州地方)したり「大規模修繕費などの出費も考慮」(北陸地方)したりして投資用不動産から得られる収入と借り入れ希望者の返済能力を厳しく見積もっているとの回答も多かった。  スルガ銀では、行員や借り入れ希望者が現地を一度も訪ねることなく契約したり、不動産業者が空室にカーテンを付けて入居しているように装ったりしていた事例も見つかった。アンケートで物件をどのように調査しているか尋ねたところ「設定・想定されている家賃が周辺相場に照らして現実的か現地調査や不動産業者への聞き取りなどで確認している」が85%にのぼった。  融資後も「年1回、営業店が債務者にヒアリングし、入居率や家賃の変化などを調査している」(東海地方)との回答もあった。

日経 2018年11月21日朝刊

 

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