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放棄希望の土地仲介 官民で新組織検討 有効活用へ対策

 所有者不明の土地が国内で増加している問題を受け、土地の放棄を希望する人と土地を活用したい人を仲介する仕組み作りが動き出す。所有者のわからない土地が増えると、地域の再開発が滞るなど経済的な損失が発生する。税収面でも問題が大きく、官民で土地の有効活用に向けた対策を急ぐ。  民間の有識者でつくる研究会(座長=増田寛也元総務相)は1日、制度設計の中間とりまとめ案として、放棄希望地の活用を促す仲介組織について論点を示した。2019年1月に提言をまとめ、政府内での議論に反映させたい考えだ。  研究会は受け皿となる仲介組織が担う役割として3つの例を示した。第1は土地の所有者と活用を望む事業者などを引き合わせるマッチング。専門家の助言のもとで土地を整備し直し、新しい活用方法を探る。  2つ目は将来約な活用を見据えた所有権の引き受け。マッチングに時間 がかかる場合などに、いったん土地の管理を引き受ける。安易な土地の放棄を助長しないよう、引き受ける土地の線引きや法整備も検討する。  土地を活用できず売却しても収益が見込めない場合もある。この場合は第3の役割として、所有者から費用を受け取って管理することを検討する。  所有者が不明の土地は16年時点で国内で約410万haあるとされ、九州本島よりも広い。高齢化や相続の増加などにより、放棄を望む人は今後も増加が続く見込みだ。  所有者不明土地の問題は法務省も対策の検討を進める。10月下旬に開く研究会で、所有権の放棄をどのような要件で認めるかなど制度のあり方を議論する。放棄の対象は主に災害や事故などで危険な状態となり所有者による管理が難しいケースを想定する。これに対し民間有識者の研究会は、主に土地の有効活用を念頭に検討を進める。

日経 2018年10月02日朝刊

 

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