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2020改正債権法 「瑕疵」を「契約不適合」に 売買の契約責任を明確に

 売買は最も身近な契約だ。もし購入商品に欠陥があったときに買い主はどのような救済を受ける権利があるのだろうか。  現行の民法(債権法)では欠陥を瑕疵(かし)と呼ぶ。売買の対象が、マンションや中古車のように物の個性に着目する「特定物」で、隠れた瑕疵があった場合にだけ、買い主に損害賠償や代金減額の請求、契約の解除を認めている。売り主はそれに応じる責任(瑕疵担保責任)がある。  ただ売買の対象が特定物かどうか区別して取り扱いを変えるのは複雑だ。瑕疵という用語も難しいという指摘があった。  そこで改正債権法では瑕疵という用語をやめ、「契約の内容に適合しない」という表現を採用した。そのうえで特定物かどうかにかかわらず、売買の対象物が契約の内容に適合しない場合、売り主は買い主に対して債務不履行責任を負うと改めた。  売り主の債務不履行責任に対する買い主の権利は4つある。まず売買の目的物を修理したり代替物を引き渡したりするなど追加的な行為を求めて完全に履行させる「追完請求」ができる。次に履行が追完されたとしても、契約で合意した時期よりも履行が遅れたことを理由に「損害賠償請求」することが可能だ。  3つ目は修理や代替物の引き渡しを売り主がしない場合は「代金減額請求」が認められる。さらに契約の目的が達成できなくなれば「契約解除」もできる。  4つの権利を行使するには、買い主が契約の内容に適合しないことを知ってから1年以内に売り主へ通知しなければならない。  もっとも、売り主が1.引き渡しの時点で契約の内容に適合しないことを知っていた2.重大な過失で知らなかった−−のいずれかの場合は買い主の権利行使期間に制限はかからない。悪質な売り主から買い主を守る仕組みといえるだろう。  実際に契約の内容に適合しない場合とはどういうことか、売り主と買い主で解釈が分かれることも想定される。松尾博憲弁護士は「売買の対象物の性質やその欠陥について、契約書で明確にしておくことが大切だ」と話す。

日経 2018年10月01日朝刊

 

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