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県内基準地価10年連続下落 土地需要の地域差拡大

 県は18日、7月1日時点の基準地価を発表した。平均変動率は住宅地1.1%、商業地0.3%、工業地0.4%のマイナスとなるなど、全用途で10年連続下落した。ただ、下落幅は縮小し、都市部の商業地や利便性の高い住宅地は上昇傾向が続いた。郊外部・沿岸部は下落に歯止めがかからず、土地需要の地域差が広がっている。  住宅地の市町別平均変動率は、1位の長泉町から6位の裾野市まで首都圏に近い東部の市町が上位を占めた。最高価格地点は30年連続で静岡市葵区西草深町。2位の浜松市中区山手町と3位の三島市大宮町は、前年から順位が入れ替わった。  商業地は、静岡市や浜松市の中心市街地が前年からさらに伸びた。金融緩和などを背景にした投資が集まっている。観光客増加でにぎわう熱海市は0.9%の上昇。前年、同価格で並んでいた三島市一番町と沼津市大手町は、三島が0.7%上昇、沼津が1.6%下落し、差が開いた。  下落が継続した地域は人口減少や駅前商店街の衰退といった要因が共通している。沿岸部は総じて厳しいが、津波リスクヘの懸念は東日本大震災以降の下落で一定程度吸収されているとの見方もある。  県地価調査鑑定評価員分科会の小泉喜洋代表幹事は「沿岸部ということで一概にくくれない部分がある。地域差が出てくることも考えられ、二極化というより個別化、多極化といった方向になるのではないか」と話した。  調査は610地点で実施した。継続地点は603。上昇地点は住宅地53(前年45)、商業地が同数の46、工業地6(同7)だった。 全国平均上昇27年ぶり  国土交通省は18日、今年7月1日時点の都道府県地価(基準地価)を発表した。全用途の全国平均は前年比プラス0.1%で、バブル期の1991年以来27年ぶりに上昇した。外国人観光客の増加や景気回復を背景に、商業地が三大都市圏と、地方圏の中核的な札幌、仙台、広島、福岡4市で大きく伸び、全体を押し上げた。人口減少などで土地需要が少ない地方圏は下落が続き、格差が広がっている。  商業地と住宅地、工業地などを合わせた全用途の全国平均は、過去最高の上昇率が90年の13.7%で、91年の3.1%を最後に下落していた。  商業地の上昇率は三大都市圏が4.2%、中核的な4市が9.2%。再開発や店舗、ホテルの進出が相次ぎ、オフィスビルの空室率も低下したことが要因で、国交省は「低金利で資金が調達しやすいため、不動産投資も活発」としている。一方、4市を除く地方圏の商業地は0.6%の下落となった。  全国平均の商業地はプラス1.1%と、前年の0.5%から上げ幅が拡大。住宅地はマイナス0.3%だが、交通の便が良い駅周辺などを中心に需要が堅調で、下げ幅は縮小した。  三大都市圏は住宅地も0.7%のプラス。大阪圏が3年続いた横ばいから0.1%の上昇に転じた。6月18日に起きた大阪北部地震の影響は、調査時点では表れていないとしている。  中核的な4市の商業地の上昇率は札幌10.0%、仙台9.9%、広島4.8%、福岡11.1%。住宅地は4市平均でプラス3.9%だった。地方圏全体では商業地が0.1%、住宅地が0.8%の下落だが、いずれも下げ幅は縮まった。  都道府県別の上昇率トップは、商業地が外国人観光客でにぎわう京都(7.5%)。住宅地は沖縄(4.0%)で、好調な県内景気が需要を支えた。 【基準地価】  土地取引の指標として、都道府県が毎年7月1日時点で調べる基準地の価格。不動産鑑定士が1u当たりの価格を算定する。2018年の基準地点数は2万1,578あり、9割以上を住宅地と商業地が占める。ほかに宅地見込み地と工業地、林地があるが、林地は平均価格や変動率などの集計に含まれない。

静岡 2018年09月19日朝刊

 

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