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低金利の副作用軽減焦点 日銀、決定会合で議論

 日銀は30日、2日間の日程で金融政策決定会合を始め、景気情勢や物価動向を点検した。大規模金融緩和の副作用を軽減するため、現行政策の修正が必要かを慎重に判断する。市場では長期金利の上振れが容認されるとの観測から、国債利回りが上昇。日銀は長期金利を抑え込むための異例の措置を2営業日連続で迫られた。長期金利を0%程度に抑える誘導目標の引き上げには慎重意見が多く、大規模緩和の枠組みを維持しつつ、いかに副作用に配慮するかが焦点となる。  30日の国債市場では、新発10年債の利回りが約1年半ぶりの水準となる0.110%まで上昇した。日銀は金利を抑えるため、固定利回りで国債を無制限に購入する「指し値オペ」を通知。今月に入って3度目で、前週末の27日から2営業日連続の実施となった。  好調な企業業績や雇用情勢を背景に日本経済は緩やかな拡大を続けているが、物価上昇の勢いは鈍いままだ。日銀は31日に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2018年度と19年度の物価見通しを引き下げる方向で議論する。20年度も小幅に下方修正される可能性が高い。  2%の物価目標の達成が遠のき、大規模緩和の長期継続が避けられない中、低金利で金融機関の経営が圧迫されるなど悪影響も出ている。会合では、0%程度に誘導している長期金利の変動幅を柔軟化する対策などを講じるか議論する。  上場投資信託(ETF)の大量購入が株価形成をゆがめているとの批判もあり、ETFの買い入れ配分の見直しなど、購入手法の修正も検討する。  日銀は30日、固定の利回りを指定した上で国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を実施すると通知した。約1年半ぶりの水準まで上昇した長期金利を低く抑えるのが狙い。指し値オペの通知は、前週末の27日から2営業日連続で、今月3度目。日銀が金利上振れを容認するとの観測から、金利上昇圧力が強まっており、異例の連日の対応となった。  日銀は30、31日の日程で金融政策決定会合を開催中。元日銀審議委員で野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、決定会合中の国債買い入れオペは異例とし、「金利上昇を強くけん制しなければ、金利を操作目標とする政策が崩れてしまうきわどい状況に来ている」と指摘した。  30日の国債市場では、日銀が0%程度に抑えている長期金利の一定程度の上振れを容認するとの観測から、長期金利が一時、0.110%まで上昇。日銀は0.100%で無制限に買う指し値オペを通知し、金利上昇を抑え込んだ。オペには1兆6,403億円の入札があり、全額落札された。  市場では、27日に続き従来より低い金利を「指し値」に設定したことに関し、「金利上昇を抑える姿勢を強く打ち出した」(農林中金総合研究所の南武志主席研究員)との見方があった。  「今後、これまでと異なる水準の指し値オペをしやすくする下準備で、長期金利の変動幅を柔軟化する第一歩だ」(第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミスト)との指摘もあった。 Q&A 指し値オぺ  日銀が今月3度目となる「指し値オペ」を通知しました。  Q 指し値オペとは何ですか。  A 日銀が銀行などから長期国債を買い入れ、お金を供給するオペレーションの一つです。募集をして金利が高い順に購入する通常のオペと違い、購入する国債の利回りを固定し、無制限に買い入れます。  Q どんな効果がありますか。  A 日銀が指定した利回り水準に長期金利を半ば強引に抑え込む効果があります。  Q どんな場合に実施されますか。  A 日銀は、長期金利を0%程度に誘導する金融政策を掲げています。長期金利の指標である新発10年債の利回りが0%から大きく離れそうになった場合に行われています。日銀が2016年9月に、金融政策の操作目標をお金の「量」から「金利」に転換したことに伴い、導入されました。  Q 指し値オペの通知は、これまでに何回あったのですか。  A 30日を含め、計7回ありました。直近の3回は、日銀が長期金利の上昇を一定程度認めるとの観測が高まり、金利が上昇した今月23日以降に実施されました。最近は、金利上昇を抑えるため、過去に例がないペースで指し値オペが行われていると書えます。

静岡 2018年07月31日朝刊

 

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