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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

安価な賃貸住宅 高齢者に提供増 現状は「サービス付き大半」 国交省 シェアハウスなど対象

 国土交通省は高齢者が死亡するまで賃貸住宅に住み続けられる「終身建物賃貸借事業」について、省令改正をして提供数の増加を図る。シェアハウスなどを新たに対象に加える。現在、同事業の対象となっている約1万件の物件は、大半が賃料以外の費用が含まれるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で、一般の賃貸住宅はほぼない。  高齢化や未婚率の上昇に伴い、単身高齢者の増加が見込まれる。国交省は住まいの選択肢を広げる環境づくりを急ぐ。  通常、賃貸住宅の入居者が死亡した場合、賃貸契約は相続の対象になる。部屋の片付けができないことなどを懸念する貸主が高齢者との契約をためらうケースが多い。国交省は高齢者の住宅確保のため、2001年に「終身建物賃貸借事業」を開始。事業者は入居者が死亡まで住むことを認める代わりに契約は相続されない。  国交省によると16年度末時点で193事業者が9,733戸を提供していた。だが、サ高住以外は9事業者、331戸にとどまっており、こうした物件も大半が有料老人ホームだった。サ高住などはサービスが充実している半面、費用が割高になる場合も多い。同省は「より安価に住める一般の賃貸住宅も含めた物件数の拡大を図りたい」(安心居住推進課)としている。  省令改正では単身高齢者の入居が広がっていることから、シェアハウス型住宅を制度の対象に新たに追加。1人の専用居室の面積を9u以上、共用部分に居間や食堂、浴室またはシャワー室、洗濯室を設けることなどの基準を設定する。  またこれまで事業者が認可を受けるには間取りなど、最大で8種類の書類を提出する必要があったが、半数以下にする。既存の建物を活用する場合は階段の斜度に関する基準など一部を免除し手すりを設けることで基準を満たすことにする。8月にも省令を改正する。  政府は17年10月に改正住宅セーフティネット法を施行し、高齢者や子育て世帯の入居を拒まない賃貸住宅を登録する制度を開始。1千件程度が登録されている。現在は2つの制度に登録する部屋はないが、省令改正により双方に登録する物件数を増やす狙いもあるという。

日経 2018年07月30日朝刊

 

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