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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

不動産取引 外資が存在感 17年度、売却・取得とも1兆円超え 融資など国内銀にも商機

 国内の不動産市場で海外勢の存在感が高まっている。2017年度の取引額は売却・取得ともに1兆円を上回った。カネ余りによる不動産価格の上昇で利益確定売りが出る一方、米欧と比べた値ごろ感が物件の取得を後押ししている。外資向けの不動産担保ローンを始める銀行が出るなど、金融機関の融資の伸びにつながる可能性もある。  都市未来総合研究所(東京・中央)の調査(速報ベース)では、17年度の国内の不動産取引額は4兆8,037億円で前年度から16.6%増えた。 1件当たり300億円以上の取引は16ポイント増の34%で大型化が進んだ。けん引役は外資系法人だ。売却額は79.5%増の1兆3,855億円と外資として過去最高を記録。反対の取得額で見ても1兆922億円と倍増した。  外資の売却を後押ししたのが不動産価格の上昇だ。国土交通省によると18年1〜3月の三大都市圏の商業用不動産価格指数(2010年平均=100)は129.3で前年同期から7.2%上昇。08年のリーマン・ショック後に外資勢が安値で取得した物件の利益確定売りが加速した形だ。  一方で取得額が倍増したのは、海外からニューヨークなど世界の主要都市よりも東京などがまだ相対的に割安とみられているからだ。物件の利回りは低下しているが、マイナス金利政策の長期化で日本は投資利回りから長期金利を引いた「イールドスプレッド」も高い。  ノルウェー政府年金基金は17年末、東急不動産と共同で東京で5件の不動産を取得した。アジアの不動産投資の第1号になった。外資の顔ぶれも従来の米国の投資ファンドだけでなく、政府系ファンド(SWF)やアジアの保険会社にまで広がりつつある。  海外勢の取引の増加は、国内の金融機関にとってもチャンスになる。関西電力などが香港系投資会社などから約1,500億円で取得した「芝パークビル」(東京・港)は、みずほ信託銀行がグループで物件仲介から資産管理まで手がけた。都市未来総合研究所の平山重雄主席研究員は「市場の活性化で、仲介役としての信託銀行の関与が増すだろう」とみる。  新生銀行は6月、海外投資家向けにリゾート施設の不動産担保ローンを始めた。北海道のルスツリゾートで建設中の高級コンドミニアムが第1弾となる。国内リゾート地が海外から注目を集める中、商機は大きいと判断した。外資系の特定目的会社(SPC)などが対象で、ほかのエリアでも展開を目指す。

日経 2018年07月05日朝刊

 

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