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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

住宅ローン 変動型急増 低金利長期化見込む 比率最高56% 家計、返済増リスクも

 住宅ローンを変動型金利で借りる人が急速に増えている。2017年度下期に借り入れをした人の56.5%を占め、前年同期に比べて9ポイント増え、過去最高になった。超低金利が長期化するという観測に加え、マイナス金利政策の導入後に銀行間で過熱した固定型での金利競争が一服した面もある。日銀が将来利上げする際には返済額が増える可能性を抱える世帯が増える。  変動型の適用金利は主に短期金利に連動して半年ごとに変わる。金利に応じて支払いも変動する。足元の金利は10年固定型と比べると変動のほうがやや低く、月々の支払い負担が軽く済む。住宅金融支援機構のアンケート調査によると、変動型の割合が固定型を5年ぶりに上回った。前身の住宅金融公庫時代を含めても、最も高い割合だ。  調査では変動型金利で借りている人の割合は、10年前は2〜3割だった。その後11〜12年度に5割を上回ったものの、日銀が異次元緩和に踏み込んだ13年4月以降は物価上昇に伴う将来の利上げを警戒する心理が働き、固定型の金利で借りる人が増えた。  足元では、変動型が再び増えている。異次元緩和後も物価が十分に上昇していないことに加え、マイナス金利導入後に過熱した銀行の固定型での金利競争が一服した影響もある。  三菱UFJ銀行の足元の変動金利は0.625%。10年固定型の最優遇金利は、17年2月時点で年0.5%だったが足元では0.85%まで引き上げており、相対的に変動型の割安感が高まった。  もう一つの要因はローンの借り換えが増えていること。国土交通省によると16年度の新規の貸し出しのうち、借り換えローンの割合は前年度から10ポイント超上昇し、25.3%となって全体の4分の1を超えた。三井住友信託銀行ローン業務推進部の松川友幸企画チーム長は「返済期間が短い借り換えローンは金利上昇リスクが少ないとみて変動金利で借りる人が多い」と分析している。  ただ、問題は必ずしも固定型、変動型それぞれのメリット・デメリットをきちんと理解して借り入れを決めている人ばかりではないという点だ。  支援機構の調査に対し、金利が上がった場合の対応が「見当がつかない、わからない」と回答した人の割合は変動型を借りている人の19.9%と17年度上半期より4ポイント上昇した。  変動型の場合、短期金利が上昇すれば返済額が増加する。すでに返済能力の上限に近い状態でロ−ンを組んでいると、返済額が増えて返すのが難しくなる可能性もある。  総務省の家計調査によると2人以上世帯のうち勤労者世帯(世帯主がサラリーマンの世帯)の持ち家率が上昇している。なかでも若年層が増えており、世帯主の年齢が30〜39歳の世帯の持ち家率は17年に62.5%と、12年に比ベ9.7ポイント増え、00年以降で最高になった。

日経 2018年07月04日朝刊

 

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