NTTデータ傘下のNTTデータ経営研究所(東京・千代田)は、ゼンリンや不動産情報サイトのLIFULL(ライフル)などと、不動産の物件情報などをブロックチェーン(分散型台帳)技術で共有するシステムを開発した。不動産各社が持つ分譲・賃貸住宅の情報を共有し、「契約済み」などの情報を素早く共有できるようにする。入居希望者の利便性向上や不動産会社の業務効率化を狙う。
ゼンリンやライフルのほか、システム開発のNTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス・ジャパン(東京・新宿)、家賃保証の全保連(同・新宿)、決済サービスのネットプロテクションズ(同・中央)など6社が参加する。商用化を目指す協議会(コンソーシアム)を8月に設立し、広く不動産会社などの参加を呼びかける。
各社をブロックチェーンで結び、物件など不動産関連情報を共有する。不動産会社は物件の所在地や間取り図、入居状況、修繕履歴、借り手の信用度といった不動産関連の情報を各社がそれぞれ保有している。
例えば人気の賃貸マンションで退出予定があるか、分譲マンションで購入の申し込みがあるかといった情報は、反映されるまで時間がかかることが多い。ある不動産会社は入退室情報に強いが、物件の修繕履歴は把握できていないこともあるという。そのため現在は入居希望者が不動産情報サイトで気に入った物件を見つけて問い合わせても成約済みだったり、中古マンションの修繕履歴がすぐに分からなかったりしている。
ブロックチェーンなら、ある不動産会社が物件の成約情報を更新すると、他の参加企業が素早く知ることができる。ライフルの不動産情報サイト「ホームズ」は、従来のように同じ物件情報で不動産会社によって内容が食い違うという状態がなくなる。分散型でデータを管理するので、間違った情報や改ざんも防ぐことができる。
6社は正確で信用できる情報を共有できる基盤を生かし、入居申込者の信用情報や決済、広告などの新サービスの開発も検討する。ただ参加する不動産会社が物件情報を自発的に更新するか、という課題がある。仲介手数料を収益源とする不動産会社は、情報を囲い込むことで顧客を獲得しようとするからだ。情報更新の動機付けなどは協議会で検討していく。
|