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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

鈴三材木店 天竜材でリノベ提案 賃貸物件向け デザイン性前面に

 建材販売の鈴三材木店(浜松市)は天竜材を使った賃貸物件のリノベーション(改修)の提案を始める。木目の美しさなど天竜材のデザイン性を訴え、人口減による需要減や価格競争に苦しむ賃貸物件のオーナーなどに売り込む。従来は木造住宅の構造材としての利用が中心だったが、用途を床材や内外装材などに広げ、需要を拡大する。  浜松市浜北区の580uの自社保有地に、3階建て延べ床面積498uのモデル物件を建設した。無垢(むく)の天竜材の雰囲気を生かした部屋や、内装を藍色で統一してデニムや車の模型などを置いたアメリカンスタイルとマッチする部屋など4種類の部屋を用意した。  全12部屋のうち10部屋は実際に賃貸し、2部屋をモデルルームとして運用する。モデルルームは15日にオープンし、リフォームを考えている大家に紹介する。  賃貸物件は「新築から年数がたつにつれて入居率が下がる傾向がある」(鈴木信吾・営業企画部長)。空室が増えれば大家にとっては収入が減ることになる。鈴三材木店は明確なコンセプトを前面に打ち出したデザイン物件で「立地や築年数、賃料以外での他物件との差別化を提案する」(同)ねらいだ。  床や壁のほか、キッチンや風呂など部屋全体をリノベーションした場合の価格は25〜30uで200万円以下に抑える方針。初年度は20部屋のリノベーション(工事費含む)で8,000万円の売り上げが目標。鈴三材木店が内外装材を開発・販売し、総合建設のリンク(浜松市)が施工する。 新築需要も取り込み、5年後に80部屋の販売を目指す。  天竜材は浜松市の面積の66%を占める森林から産出される。市は環境保全などに配慮した森林の管理・経営を証明する国際認証「FSC認証」取得に力を入れており、認証を取得した面積は市町村別で日本一だ。安価な外国産材に押されて落ち込んだ生産量も近年は盛り返す傾向にある。  一方、人口減による世帯数の減少や住宅の長寿命化で新築の木造物件は中長期では減少が見込まれる。  鈴三材木店の2017年7月期の売上高は35億円。うち4分の3ほどを新築の木造物件が占める。その主な用途は柱やはりなどの構造体だ。賃貸物件のリノベーション提案をきっかけに壁や床、天井などの内装材としての用途を開拓して天竜材の需要を拡大し、23年7月期には売上高を40億円に高める目標だ。

日経 2018年03月14日朝刊

 

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