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脱デフレへ追加金融緩和も 日銀副総裁候補 若田部氏が所信 衆院議運委

 日銀の次期副総裁候補の若田部昌澄早大教授は5日、衆院議院運営委員会の所信聴取に臨んだ。デフレ脱却に向け、追加金融緩和をちゅうちょしない考えを強調し、大規模な金融緩和を終わらせる「出口戦略」の検討には慎重な姿勢を示した。地方銀行の収益悪化や財政規律の緩みといった緩和策の副作用に関しては「メリットの方がはるかに上回っている」と述べた。  若田部氏は金融緩和で経済成長を目指す「リフレ派」。経済情勢は上向いたが物価上昇率2%の目標実現が遠く、時期尚早な政策変更で「デフレに逆戻りするリスクは避けなければならない」と訴えた。緩和策の一環として、これまで日銀が購入していない資産を購入することも可能だとも説明した。  同じ副総裁候補の雨宮正佳日銀理事は「歴史的に類を見ない政策なので、効果や副作用の評価、出口戦略など検討課題は多岐にわたる」と分析した。2%目標実現への重しとなっている消費者や企業のデフレ心理を拭い去ることは「当初考えていたよりも難しい仕事だ」と語った。  雨宮氏は日銀の生え抜きで金融政策の立案を担う中枢の企画担当が長く、黒田東彦総裁を支えてきた。 次期5年の任期では、市場の混乱なく出口戦略に着手できるかが課題となるが、雨宮氏は「技術的には十分可能だ」と自信を示した。  衆院は続投案が提示された黒田氏の所信聴取を終えている。参院でも6、7日に正副総裁候補の所信聴取が行われるが、衆参両院とも与党が多数を占めており、総裁が黒田氏、副総裁は若田部氏、雨宮氏という政府の同意人事案は承認が確実な状況だ。 日銀、大規模緩和継続へ  日銀は8、9日に金融政策決定会合を開く。物価上昇率2%の目標実現が遠いため、長期金利を0%程度に抑える現行の大規模な金融緩和策を維持する見通しだ。  会合後には黒田東彦総裁が記者会見を開く。政府が総裁統投の人事案を国会に提示後、初めての会見となる。衆参両院とも自民、公明の与党が過半数を占めて人事案承認が確実視され、今後の政策運営姿勢に関する発言が注目される。  日銀は黒田氏の総裁就任直後の2013年4月、2%目標の実現を目指して大規模な金融緩和策を導入した。  景気改善を下支えする一方、物価は直近で0.9%と実現への道筋は険しく、黒田氏は「強力な金融緩和を続けていく」と現行の緩和策を当面続ける考えを示している。  金融市場では低金利の長期化で民間銀行の収益圧迫や財政規律の緩みへの懸念が根強い。緩和策の効果と膨らむ副作用への黒田氏の見解に関心が集まりそうだ。

静岡 2018年03月06日朝刊

 

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