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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

本県など 住環境悪化を懸念 民泊規制 全国で拡大

 一般住宅に有料で旅行者らを泊める「民泊」が6月に解禁されるのを前に、静岡県など全国の52自治体が営業できる区域や期間などを規制する条例を制定、あるいは制定予定であることが1日、観光庁などの集計で分かった。関連法で条例制定が認められた都道府県や政令指定都市など150自治体の35%に当たる。住環境悪化を招く恐れがあるとして自治体の民泊への警戒感は根強く、規制の動きはさらに広がりそうだ。  このほか静岡市、浜松市など44自治体は民泊営業届の受け付け事務や条例制定の是非を巡る判断も含めて都道府県に権限を委ねるとし、30自治体は「条例を制定しない」と回答。 残りの24自治体は「対応を検討中」だった。  最も厳しい規制内容では兵庫県、同県尼崎、明石の両市、神戸市、東京都大田区の計5自治体は住居専用(住専)地域での営業を年間通して禁止する予定。  都の新宿区は住専地域、目黒、中央両区は区内全域で、それぞれ平日を中心に営業を禁止。京都市の住専地域では、京町家を活用する場合は通年で営業を認めるが、それ以外は観光の閑散期に当たる1月中旬〜3月中旬に期間を限定する。  区域の制限では、奈良県は橿原市の橿原神宮周辺など、奈良市は奈良公園周辺などで、繁忙期の営業をそれぞれ制限する方向だ。  6月15日施行の住宅宿泊事業法は、都道府県と政令指定都市、東京23区、中核市に対し、条例で民泊営業を規制することを認めている。しかし、観光庁は昨年末にまとめたガイドラインで、民泊の通年禁止や広範な地域での制限は「法の目的を逸脱し、適切ではない」と指摘していた。  集計には、4月に中核市へ移行する埼玉県川口市や兵庫県明石市なども含まれている。  県は住宅宿泊事業法施行日となる6月15日に合わせて「民泊事業」を制限する条例案をまとめ、開会中の県議会2月定例会に提出している。可決・成立すれば主に学校の周辺100メートルや住居専用地域で月−金曜の平日の民泊営業は禁止になる。  1日の県議会2月定例会一般質問では、山口重則県健康福祉部長が民泊事業の届け出業務を県内の保健所で3月15日から開始する方針を示した。監督業務については、国や県の相談窓口に寄せられた情報などを基に立ち入り検査を行い、「無届け民泊などの違法事業者に対しては厳正に対応する」と述べた。  西田郁夫県文化・観光部長は民泊が訪日客の宿泊需要に応え、地域活性化につながるとした一方、全国で相次ぐトラブルを背景に「生活環境の悪化防止の観点が何よりも重要」と強調。特に教育現場や閑静な住宅街は良好な環境を守る必要性があるとし、「県民の安全安心を第一に考えた条例案」と説明した。 【民泊】  旅行者に住宅を有料で提供する宿泊形態。増加する訪日外国人の宿泊の受け皿として普及を促すため、自治体に届け出れば営業可能とする住宅宿泊事業法が昨年6月に成立し、今年6月15日に施行される。既存の宿泊施設に配慮し、営業日数の上限を年間180日としたほか、住環境悪化などを防ぐため条例によって営業を制限できる規定を設けた。

静岡 2018年03月02日朝刊

 

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