長期金利の低下が鮮明だ。指標となる新発10年物国債の利回りは1日、前日比0.010%低い(価格は高い)0.035%と昨年12月以来3カ
月ぶりの低水準を付けた。最近の国債需給の引き締まりを踏まえて日銀は2月28日に超長期債の買い入れを一部減額。それでも年度末を控えた投資家の買い意欲は強く、減額後も金利は低下傾向にある。
財務省が1日に実施した10年債入札が事前の市場予想よりも強めの結果となったことも買いを誘った。
最高落札利回りが0.0620%と、前回(2月1日、0.090%)から低下した。
今回は3カ月ぶりに回号が切り替わり、新発350回債としての発行となった。新発債は償還時期が延びるほか、日銀の国債買い入れオペ(公開市場操作)の対象になるまで時間がかかるため、投資家は既発債よりも高い利回りを要求する傾向がある。
入札前取引で既発債対比の利回りの上乗せが大きくなかったことから、事前には強い結果を見込む声は多くなかった。だが「ふたを開けてみれば堅調な結果に終わった」(国内証券ディーラー)との受け止めが広がった。
期末を控えた投資家の買い需要がそれだけ強かったとの見立てが多い。
日銀がオペを減額しても市場の需給の逼迫感は大きく変わっていない。
日銀は2月28日、残存期間が「25年超」の買い入れ額を100億円減額し、700億円とした。これまでに超長期債の利回りの低下が進んできたため、「利回り曲線の形状から見れば減額自体に意外感はない」(東海東京証券の佐野一彦氏)との見方が多い。その一方、「円高の進行で日銀は当面買い入れの減額に動けない」との見方も根強かったため、一部の参加者の驚きも誘った。
ただ今回の減額は超長期債のみで、金額も小幅なものにとどまっている。市場では「国債の売り手が限定される中、長期金利は0.050%を中心に低下傾向で推移する」(JPモルガン証券の山脇貴史氏)との見方が多くなっている。
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