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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

既存住宅 10年保証で攻勢 大和ハウス 独自規格で物件検査 仲介拠点7年で2.5倍に

 住宅大手がリフォームや仲介などの既存住宅事業を本格化させている。少子高齢化により新設住宅着工戸数は今後減っていく見込みで、各社は新築戸建て事業で培ったノウハウを既存住宅の売買に役立てていく。大和ハウス工業は既存住宅の新ブランドを立ち上げ、消費者への認知度向上を狙う。仲介拠点も7年後までに2.5倍にする。住友林業は建築基準法ができる以前の木造住宅に特化したリフォームを強化し、既存住宅の価値向上を目指す。      新築住宅の価格が高騰していることもあり、都市部を中心に既存住宅のニーズは高まっている。東日本不動産流通機構によると、2017年の首都圏の中古戸建て住宅の成約件数は1万2,743件で、3年前と比べ約9%増えた。しかし、既存住宅が全国で流通する住宅を占めるシェアの流通量で見ると、欧米諸国の約5分の1の量しかなく、市場を活性化させるためにはより優良な既存住宅の取り扱いを増やしていく必要がある。  大和ハウスグループは1月、これまで関連会社が個別に取り組んできた既存受託事業を一本化し、新ブランドとして事業展開すると発表した。各関連会社の営業拠点で売買や仲介、改築・改装などの幅広いサービスを一括で受け付けるようにし、既存住宅の成約件数を伸ばしていく狙い。中古物件の地盤や構造を検査して「リブネス特別仕様」という独自規格を設定。最長10年の保証をつけて再販する。  新ブランド「Livness(リブネス)」は17年4月に新設された住宅ストック事業推進室を中心に展開させていく。 同室は12人ほどで構成された部署で、日本住宅流通や大和ハウスリフォームなどの関連会社からの出向社員なども在駐させる。住宅ストック事業に関する総合窓口を設け、同室の社員が問い合わせに応じる。今年4月には人員をさらに3人増やし、対応を強化する。  グループ全体が取り扱う全物件が見られる受付サイトも新設した。これまでは大和ハウスグループとしての窓口はなく、日本住宅流通や大和ホームズオンラインなど既存住宅の仲介をする会社のサイトにアクセスし、各社が扱う物件の問い合わせしかできなかった。新サイトでは、グループ各社が扱う1万件以上の物件情報を得られるようになる。  既存住宅の売買を担当する営業所も2025年までに都心を中心に60カ所増やす。また、大和ハウスの営業所がないエリアでは、地元の不動産業者約80社と提携することで、これまで対応できなかった地方部の既存住宅も取り扱えるようにする。また、商業施設などに仮想現実(VR)のゴーグルを使って物件の内見を体験できる「どこでもストア」を設置し、店舗を訪れなくても、最大500件の物件の内装を確認でき、ブース内の他タブレット端末を通して大和ハウスの営業社員に問い合わせもできる。  大和ハウスグループ以外の物件も取り扱うようにする。「リブネス特別仕様」と呼ぶ独自規格で地盤や設備を含めて検査し、最長で10年間保証する。また、共働き世帯が暮らしやすい間取りなど、消費者からの要望の多い内装提案をしていく。2月中に同規格に沿って改装した築31年の戸建て住宅を津市にモデル棟として公開し、リフォーム力をアピールする。  大和ハウスグループは創業以来、63年間で累計61万1,022戸の戸建て住宅を販売してきたものの、住宅を手放した顧客は全体のうち1割しか同社の流通網を活用していないという。改築や改装によって付加価値のある住宅の扱いを増やすことで、縮小傾向にある新築事業に代わる新たな事業の柱として育てていきたい考えだ。将来的には住居だけでなく、物流施設や医療・介護施設のストック事業も手がけていく。26年3月期には既設住宅を扱う住宅ストック事業の売上高を17年3月期の2倍となる2,000億円を目指す。  住友林業も建築基準法以前に建てられた寺や旧家などの木造建築の大型リフォームの受注数を増やし、ストック住宅事業の売り上げを伸ばす。矢野経済研究所によると、16年の住宅リフォーム市場規模は約6.2兆円。 うち10u以上の物件の増改築案件の売り上げは約10%で、大半は住宅設備工事など小規模なリフォーム案件が占める。住友林業は今後5年をめどにリフォーム事業で売上高1千億円を目指す考えだ。

日経産業 2018年02月20日朝刊

 

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