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相続の家 配偶者に居住権 民法改正案 高齢化で新設

 民法の相続分野の見直しを進めている法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、遺産分割の際の選択肢として、残された配偶者が終身あるいは一定期間、遺産に含まれる家に住み続けることができる居住権や、自筆の遺言を法務局で保管できる制度の新設などを盛り込んだ改正要綱案を了承した。2月中旬に上川陽子法相(静岡1区)に答申し、政府は今年の通常国会に民法改正案を提出する。相続分野の見直しは1980年以来。高齢化の進展など社会情勢の変化を受け、規定の見直しが必要と判断した。  夫婦で住んでいた家が遺産に含まれる場合、所有権と切り離す形で、配偶者が終身か一定期間の居住権を取得し、建物に登記することを可能とする。配偶者の遺産取り分は原則全体の2分の1だが、家については土地・建物の評価額よりも安い居住権だけを相続することにより、その分、預貯金など他の遺産が多く分配されることになる。  高齢の配偶者の住む場所と生活資金の安定的な確保が狙い。子どもが家の所有権を受け継ぎ、売却したとしても、居住権があるうちは住み続けることができる。  遺産分割が終了するまで、配偶者が無償で家を使用できる短期の居住権も設ける。婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、配偶者が生前贈与や遺言で与えられた家は、相続人が遺産分割で取り分を計算する際の対象から除外する案も盛り込んだ。  遺言の新たな制度も創設。自筆証書による遺言は、全文、日付、氏名を本人自身が書くよう定めているが、財産を一覧にした目録に限り、パソコンなどで作成したものを添付できるようにする。  現行では、公正証書遺言は公証役場で保管できる一方、自筆証書遺言は、弁護士などに預けるか自分で保管する必要があった。案では法務局での保管を可能とし、紛失や改ざんといったトラブルを防ぐ。  相続分野の見直しは2015年2月、当時法相を務めていた上川氏が法制審に諮問した。

中日 2018年01月17日朝刊

 

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