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不動産・住宅関連【新聞各紙記事スクラップ】

マンション丸ごと増改築 野村不、買い取り設備刷新

 野村不動産はマンション1棟を丸ごとリノベーションする事業に増築を組み合わせる手法を業界で初めて展開する。東京都区部の築30年超の物件を買い取り、当時の施工元の竹中工務店が改修・増築工事を担い、今秋にも売り出す。首都圏で新築向け用地の獲得競争が激化する中、既存物件のリノベ需要に着目。幅広いノウハウを蓄積して収益の柱に育てる考え。  東京・渋谷にある地上3階建ての高級賃貸マンションを買い取り、新た に増築棟も建設して販売する。総戸数8戸の既存の建物を12戸に分割した上で増築部分と合わせて全15戸を1戸当たり数億円程度で売り出す予定だ。  この間に共用廊下や階段、エレベーター昇降路部分の容積率が緩和される法改正が実施されたことで余剰敷地を利用した増築が可能になった。リノベでは柱などの躯体(くたい)部分を改修し、配管なども入れ替えて新築物件と遜色の無い設備に全面刷新する。  竹中工務店の技術研究所がコンクリートや鉄筋などを分析・調査して改修後65年以上の耐用年数を確保した。耐震診断の評定などを担う一般社団法人の建築研究振興協会や宇都宮大学など第三者機関の認定も受けた。同様のノウハウを今後、他の物件でも応用する。  不動産大手にとって既存物件のリノベーションは解体費がかからず初期コストが低廉で、事業の回転率が速い、難しい施工技術を必要とせず、幅広い建設会社を選べるなどの利点がある。こうした中で各社は住宅やビルなどの既存物件を全面改修して販売・賃貸する手法を多様化している。  三菱地所は主に築25年を超えるビルやマンションを対象に同社が物件を一括賃借したり、買い取ったりして賃貸する「Reビル事業」を強化。2014年5月に始まり、これまでに10物件で施工済み。今後施工する6物件と合わせて貸床面積は延ベ3万u超になるが、21年3月までに8万2500u超に拡大する目標だ。ホテルや物流施設への応用も検討中だ。

日経 2018年01月10日朝刊

 

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