地方銀行を中心に拡大が続いていた個人貸家業向け融資「アパートローン」に急ブレーキがかかっている。日銀によると、アパートローンの新規融資額は銀行全体で2017年7〜9月期は前年同期比20.5%減の8,591億円となり、3四半期連続で前年と比ベマイナスだった。需要の縮小と過剰融資を懸念した金融庁の監視強化が融資減少につながったとみられる。
貸家の新設着工戸数も17年11月まで6カ月連続で前年同月を下回り、減少傾向にある。貸出先の確保を狙う地銀を中心に巻き起こったブームは一服したと言えそうだ。全国地方銀行協会の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は17年11月の記者会見で「地価が上がってきて、採算のとれるアパートが少なくなった」と述べ、頭打ちとなっていることを示唆した。
アパートローンは日銀の大規模緩和策を背景にした低金利と15年の相続税増税をきっかけに拡大。15年1〜3月期から8四半期連続で前年を上回り、前年同期比で20%超の伸びを示したこともあった。17年10月末時点のアパートローン残高は、地銀が全体の約6割を占める。
ただ金融庁が「空室の発生や賃料低下のリスクを借り手が十分に理解していない状況がある」と指摘したことを背景に17年に入ると新規融資額は減少に転じ、マイナス幅も広がっている。
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