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所有者不明土地 将来の急増備え 実効性の確保、課題に 相続登記義務付け 法政審諮問へ

 政府は所有者不明の土地問題の抜本改革を急ぐ。山下貴司法相は8日、法制審議会(法相の諮問機関)に民法と不動産登記法の見直しを諮問する意向を表明した。相続登記を義務付け、所有権を放棄する制度の創設を検討する。不明土地の「予備軍」を減らし、土地の有効活用を促す。実効性をどう確保するか、既にある不明土地の解消につながるかなど課題は多い。  所有者不明の土地は不動産登記簿などの所有者台帳で所有者がすぐ分からなかったり、判明しても連絡がつかなかったりする土地。民間有識者の研究会(座長・増田寛也元総務相)による16年の推計によると、全国で約410万ha。40年には約720万haにまで広がる見込みだ。  2020年に想定される秋の臨時国会に向けて改正案の提出をめざす。見直しの主なポイントは1.相続登記の義務化2.所有権放棄の制度を創設3.遺産分割協議に期限4.相続財産管理人を土地ごとに選任−−の4点だ。  被相続人の死後、相続人が登記簿上の名義を書き換えないまま放置すると、外部からは権利者が誰なのか分かりにくい。売買や賃借などの土地取引を防げる要因にもなる。相続の発生を正確に反映させるため、相続登記の申請を義務化する。登記をしていなければ罰金を科すことも検討する。  ただ、罰金を科してもなお手続きが煩雑で登記をしない所有者もいるとみられる。このため、登記所が死亡情報を取得できる仕組みもつくる。他の公的機関から死亡情報などを取得し、登記簿上の名義を最新の状態に更新しやすくする。  現行民法は、土地所有権の放棄を認めていない。所有権は土地の適正な管理や税金の支払いなど、所有者の義務もセットになっているためだ。一方的に放棄を認めてしまえば税逃れや、放棄を見越して管理を怠るなどモラルハザードにつながる懸念がある。  ただ、遠方の親から土地を相続して管理が難しかったり、相続した土地が災害や事故で危険な状態になったりするケースもある。どのような条件で放棄を認めるかが焦点となる。  第三者機関や自治体、国など、所有者が手放す土地の受け皿となる機関も議論する。増田氏の研究会は1月、土地を放棄したい人と土地を活用したい人をマッチングしたり、当面活用が見込めない土地を所有者に代わって管理したりする組織の設置を提言した。所有者が自治体や国と合意すれば所有権を移せる制度も盛り込んだ。  遺産分割の協議ができる期間を制限し、迅速な遺産分割を促す。これまでは制限がなく、相続人同士が長年にわたり協議しなかったり、話し合いがまとまらなかったりした。法務省の研究会では3年、5年、10年の複数案が挙がっており、適正な期間を見極める。改正法施行前に発生した相続も対象とするかどうかなど、詳細を詰める。  相続人のいない土地を調べ、もらうべき人に土地を分けたり売却して被相続人の債務の支払いにあてたりする「相続財産管理人」の制度も見直す。現行制度では、管理人を選任してもらうためには債権者などが最大100万円程度の費用を家庭裁判所に納める必要がある。他に相続人や債権者がいないことなどを確認するための公告期間として計10カ月かかる。  改正後は土地別に管理人を選任できるようにすることで費用を減らし、相続人の調査にかかる期間も最短3〜5カ月に短縮する。これまでは同じ所有者の全ての土地を調べる時間や費用がネックで、相続人が不在のまま放置される土地も多かった。どれほど費用や期闇を減らせるかや、改正で制度の利用が広がるかが問われそうだ。

日経 2019年02月09日朝刊

 

※ニュースファイルは、新聞各紙に掲載された地域開発関連記事、土地対策や税制など主だったものを日付順に整理したものです。
※転載した記事の末尾には、新聞紙名および日付(朝夕刊の別)等の出典を明示しています。


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