盛り土・液状化 国が地図作成 相次ぐ、地震、造成地の危険把握 未公表の自治体多く
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国土交通省は盛り土造成地を示す「盛り土マップ」と液状化の可能性を示す「液状化マップ」について、自治体に代わり作成・公表に乗り出す。ともに地域住民が災害時の危険性を知るのに役立つ地図だが、未公表の自治体が多いため。2019年度中にホームページで公表する。18年9月の北海道地震で造成地の液状化被害が相次いだことを受けた。
国交省によると、北海道地震では札幌市清田区など内陸部の盛り土造成地で液状化被害が発生。住宅が傾いたり道路が陥没したりした。東日本大震災では仙台市などの宅地造成地で地滑りが起きるなどした。
全ての造成地で被害が起きやすいわけでない。しかし、谷や沼を埋めた造成地は地下水位が高いことなどから、液状化しやすいことがある。06年の技術基準改定で地下水排除のための施設設置などが定められる前の古い造成地などで、対策工事が必要なケースもある。
国交省は住民の防災意識を高めるため、盛り土をした地域を示す「大規模盛土造成地マップ」の作成・公表を自治体に求めてきた。面積で3u以上の盛り土をするか、元の地盤の角度が20度以上あって高さ5m以上の盛り土をした造成地が対象になる。
同省によると、マップもしくは造成地がないことを公表しているのは1
,148市区町村で全体の約66%どまり(18年11月時点)。栃木、熊本など5県は公表自治体がなく、8割近くの自治体が作成している土砂災害や洪水のマップに比べ遅れていた。地震防災対策特別措置法で作成は努力義務とされ、対応が後回しになっていたようだ。
地震による被害が相次いでいることから国交省は未公表の約590自治体分について18年度中にも過去や現在の地形図を入手し、作成を始める。19年度中にも各地のハザードマップ(防災地図)の情報を一覧化しているポータルサイトで公表する。
「液状化マップ」も公表しているのは366市区町村と全体の2割程度。国交省は全地域について19年度中にポータルサイトで公表する。マップは市区町村が作るが、都道府県も地震の被害想定を出すため地盤情報などを調べているといい、都道府県から情報を集めて作成する。
その上で、未公表の市区町村により詳細なハザードマップを作ってもらうため、3分の1となっていた調査費などへの国の補助率を18年度から2分の1に引き上げた。
国交省の担当者は「情報を見える化して宅地の特徴を把握しやすくすスことで、住民が異変に気付きやすくなるようにしたい」と話している。
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日経 2019年01月22日朝刊
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※ニュースファイルは、新聞各紙に掲載された地域開発関連記事、土地対策や税制など主だったものを日付順に整理したものです。
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