住宅ローン金利 ネット銀下げ 借り換えで0.3%台、大手行並み 集客争い 利上げ局面でも
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インターネット銀行が住宅ローン金利を引き下げている。PayPay銀行やauじぶん銀行は借り換える顧客に適用する変動型の最優遇金利を再び0.3%台に下げた。大手銀行に並ぶ水準で、日銀の利上げ局面でも顧客獲得競争が激しくなってきた。
住宅ローンを巡っては、日銀の追加利上げを受けて多くの銀行が24年10月から基準金利を引き上げた。10兆円規模の残高がある三菱UFJ銀行が優遇幅を拡大して新規顧客に適用する最優遇金利を0.345%に据え置いた。りそな銀行も11月から優遇幅を0.1%拡大して0.39%としている。24年8月を境にネット銀行と大手銀行の金利水準が逆転していた。
ネット銀はすでに借り入れている他行の借り換えを促している。銀行にとっては事務コストを抑えて効率よく顧客を獲得できるメリットもある。
PayPay銀は2024年12月から借り換え客を対象に変動型金利を通常より0.109%低い0.390%に下げている。25年1月の申込件数は前年から倍増し過去最高になった。申込件数が想定を超えたため、当初2月28日までとしていた事前審査の申込期限を3月14日まで延長した。
全体の申込件数のうち借り換えの割合は4割近くに上昇した。PayPay銀の中島洋樹・住宅ローン事業部長は「日銀の利上げのタイミングと重なり、(顧客の)反応がいい」と話す。
住宅ローン金利は長期金利に連動する固定型と短期金利に連動する変動型の2種類ある。
日銀は1月に追加利上げを決めて政策金利を0.25%から0.5%に引き上げた。銀行は政策金利の変動にあわせて短期プライムレート(短プラ)を決めており、大手行は追加利上げに伴い3月に短プラを引き上げる。変動型の基準金利は短プラに連動しており、短プラの上昇分は4月以降の住宅ローンの基準金利に反映される見通しだ。
住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFSの塩沢崇取締役は「物価も上昇する中、家計の最も大きな固定費である住宅ローンを見直す人が増え、借り換えブームが起きている」と指摘する。借り換えの相談件数は足元で前年の3倍程度に急増しているという。
auじぶん銀は1月、一般団体信用保険を選択した場合、借り換え時に適用する金利を0.425%から0.385%に下げた。24年3月のマイナス金利政策解除前後から借り換え需要が旺盛な状況が続いており、ローン実行件数の大半を大手行や地銀からの借り換えが占めている。
東京きらぼしフィナンシャルグループ傘下のUI銀行は3月末まで、3,000万円以上を借り換えた顧客を対象に3万円を贈呈する。同行は24年8月に住宅ローン事業に参入したばかりで、借り換え需要を喚起してローン残高の積み増しを狙う。
一方、利上げ局面で金利下げに動けば、毎期の利益を削ることになる。銀行関係者は「金利で収益を得る『ストックビジネス』ではなく、融資事務手数料で稼ぐ『フロービジネス』に住宅ローンが変化している」と指摘する。
店舗網を保有する大手銀行は顧客接点を強化して別の金融商品などで稼ぐ計画。一方、ネット銀はもともと店舗を持っていない軽量型経営だ。auじぶん銀行はauの携帯電話の契約とセットに金利優遇を受けられるサービスを展開するなど、経済圏に囲い込む戦略を敷いている。
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日経 2025年02月27日朝刊
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※ニュースファイルは、新聞各紙に掲載された地域開発関連記事、土地対策や税制など主だったものを日付順に整理したものです。
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