日銀、0.5%に利上げ 総裁「ペース、予断持たず判断」 17年ぶり水準に
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日銀は24日に開いた金融政策決定会合で、政策金利とする短期金利(無担保コール翌日物レート)を0.25%から0.5%に引き上げると決めた。植田和男総裁は同日の記者会見で今後も利上げを続ける方針を表明しつつ、「ペースやタイミングは経済・金融情勢次第で予断は持っていない」と述べた。
新しい金利は27日から適用する。利上げは24年3月のマイナス金利解除以降では3回目で、政策金利が0.5%になるのはリーマン危機前の07年2月〜08年10月以来となる。1995年9月以降、政策金利が0.5%を超えたことがなく、金利水準は過去30年間で最も高くなる。
植田総裁は利上げの理由について「昨年に続きしっかりとした賃上げが見込まれると判断した。トランプ米大統領が就任した後も金融資本市場は全体として落ち着いている」と説明した。
円安が背景にあるとも説明した。日銀は2024年度の生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを前年度比2.7%と、昨年10月時点の2.5%から上方修正した。25年度の見通しは2.4%、26年度の見通しも2.0%とそれぞれ0.5ポイント、0.1ポイント引き上げた。
植田総裁は上方修正の一因が「円安に伴う輸入物価の上振れ」にあると説明し、「2%目標の持続的・安定的な実現という観点から金融緩和度合いを調整することが適切と判断した」と述べた。
「過去と比べると為替変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」とも指摘した。「今回の利上げ後もなお緩和的な金融環境が続いているとの認識も示した。経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば「引き続き金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくという基本的な考え方に変わりはない」と強調した。
今後の利上げペースについては、日銀内部では「半年に1回程度だろう」との声がある。植田総裁は急ピッチの利上げを迫られている状況ではないとの認識を示し、「毎回の決定会合で、その時点で利用可能なデータ・情報から適切に政策を判断していきたい」と話した。
【普通預金金利0.2%に 3メガ引き上げ】
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクと三井住友信託銀行は24日、日銀が同日に追加利上げを決めたことを受け、普通預金金利を0.1%から0.2%に引き上げると発表した。3月から適用する。0.2%になるのは2008年11月以来、17年ぶり。
三菱UFJ銀行と三井住友銀行は、住宅ローン利用者の大半が使う変動型金利の指標となる短期プライムレート(短プラ)も年1.625%から1.875%に引き上げる。短プラは変動型住宅ローンの基準金利の指標になる。新規の借り入れ分は4月から、既存利用者は6月の返済分から順次、新たな短プラを反映した基準金利が適用される。短プラの上昇で住宅ローン利用世帯の負担感は増すことになる。
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日経 2025年01月25日朝刊
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※ニュースファイルは、新聞各紙に掲載された地域開発関連記事、土地対策や税制など主だったものを日付順に整理したものです。
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