不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が23日発表した11月の中古マンションの平均希望売り出し価格は、東京23区で前月比2.7%高の70平方m当たり8,531万円となった。投資マネーの流入が続く都心6区では2004年1月の調査開始以降初めて1億4,000万円台に突入し、前年に比ベ3割高に達した。周辺部との格差が大きくなっている。
調査は事務所や店舗用を除いた専有面積が30平方m以上のファミリータイプの物件が対象になる。東京23区の平均価格は11月まで前月に比ベ7カ月連続での上昇となり、過去最高を更新した。都心部での不動産価格の高騰が全体をけん引する構図が続いている。
都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の平均価格は前月比2.4%高の1億4,128万円となった。前年同月比では29.7%上がっている。港区が最も高く1億9,028万円、千代田区が1億8,895万円で続いた。新宿区は1億212万円と、調査開始以来初の1億円台に乗った。
都心部のマンションは富裕層や法人のほか海外からの需要が強い。さらなる値上がりを期待した投資目的の資金が流入しており、急速な価格の上昇が続いている。
一方、都心6区での流通在庫数は3カ月連続で増えた。8月までは減少が続いてきたが反転しており、相場動向の変調につながるかが注目される。東京カンテイの高橋雅之上席主任研究員は「在庫数は絶対水準としてはまだ低く、売り手優位のマーケットが変わるとは考えていない。商戦期である来年1〜3月の数字を確認してトレンドを見極める必要がある」という。
東京以外では、10月に下落していた埼玉県と千葉県、神奈川県が11月にはそろって上昇した。もっとも前年同月比でみると埼玉県は3.0%安、千葉県と神奈川県はほぼ横ばいにとどまる。東京都心とは異なり実需層が大半を占めるため高値についていけず、戸建てに流れる例もあるという。
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